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過失割合の決め方

  • 文責:弁護士 鳥光翼
  • 最終更新日:2021年6月30日

1 過失割合は誰が決めるのか

過失割合について、事故の両当事者の言い分が食い違って折り合いがつかない場合、最終的には、訴訟等の場で裁判所が決めることになります。

とはいえ、同じような事故態様であるのに、裁判所ごとに過失割合が異なってしまうと、公平に反する結果となります。

そのため、多くの裁判所は、過失割合を決めるにあたって、これまでの裁判例の積み重ねによって予め定められた基準を参考にしています。

2 過失割合はどのように決めるのか

多くの裁判所が参考にしている基準は、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(別冊判例タイムズ№38)に記載されています。

この本は、さまざまな事故態様を類型化して、事故態様ごとに過失割合の判断基準を記載しています。

具体的には、まず、歩行者と四輪車・単車の事故、歩行者と自転車の事故、四輪車同士の事故、単車と四輪車の事故、高速道路上の事故、駐車場内の事故等に大別し、次に、四輪車同士の事故のうち、交差点における直進車同士の出会い頭事故、交差点における右折車と直進車との事故、同一方向に進行する車両同士の事故等のように、事故態様を細かく分類しています。

そして、事故態様ごとに、基本の過失割合と、基本の過失割合を増減すべき修正要素を示しています。

例えば、四輪車が、交差点の手前30メートル以内の地点で、直進する単車を右側から追い越した上で左折した際、単車に衝突した事故態様では、単車と四輪車の基本の過失割合を、10:90と定めています。

その上で、四輪車が大回り左折をしたり、左折の合図をしなかった等の事情があれば、四輪車の過失割合は、10%増加修正されます。

3 判例タイムズは保険会社も利用している

「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(別冊判例タイムズ№38)は、裁判所や弁護士だけでなく、損害賠償請求の交渉にあたる保険会社等の間でも広く利用されています。

事故の相手方の保険会社から提示された過失割合に納得がいかない場合、判例タイムズの基準を確認してみるとよいでしょう。

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