交通事故を原因とする顔(耳・目・鼻・口)に関する後遺障害
1 交通事故による怪我と後遺障害の認定
交通事故の被害にあわれた方には,耳,目,鼻,口に後遺障害を残してしまう方もいらっしゃいます。
それぞれどのような場合に,後遺障害として認定されるのでしょうか。
2 耳に関する後遺障害
耳の後遺障害に関する自賠責等級における取扱いは,耳の欠損に関するもの,1耳に関するもの,両耳に関するものに区分されます。
欠損に関するものは,欠損の程度に従って,1耳・両耳に関するものは,聴力の程度に従って,後遺障害等級認定がなされます。
聴力に関する後遺障害該当性およびその等級については,自賠責実務でも裁判実務でも,各検査結果が認定基準の数値に達しているか否かで判断されます。
ただし,むちうち損傷事案で,耳鳴りや聴力障害を訴えることも稀ではありませんが,自賠責実務では,器質的原因による障害認定をする取扱いであり,むちうち損傷事案における耳鳴りや聴力障害などは非該当とされることが多いです。
裁判例においても,器質的原因のない耳鳴りや聴力障害を独自に評価するものは少ないですが,外傷性頸部症候群による聴力障害を認めたものもあります。
3 目に関する後遺障害
目の後遺障害に関する自賠責等級における取扱いは,眼球に関するものとまぶたに関するものに区別され,眼球は,視力障害,調節機能障害,運動障害,視野障害に区別され,まぶたは,欠損障害,運動障害に区別されます。
むちうち損傷事案で視力障害や調節機能障害を訴えることも稀ではありませんが,自賠責実務では,器質的原因による障害認定をする取扱いであり,むちうち損傷事案における視力障害や調節機能障害などは非該当とされることが多いです。
ただし,裁判例の中には,検査所見が得られていることを前提に,バレ・リュー症候群による調節機能障害を認めたものもあります。
次に,鼻についてです。鼻の後遺障害に関する自賠責等級における取扱いは,鼻の欠損を伴う機能障害と鼻の欠損を伴わない機能障害に区別されます。
嗅覚障害に関する後遺障害は,主として,嗅覚障害が生じたことによって労働能力の喪失が認められるか否かが争点となることが多いです。
4 口に関する後遺障害
口の後遺障害に関する自賠責等級における取扱いは,咀嚼および言語の機能障害に関するものと歯牙の障害に関するものに区別されます。
口の障害については,咀嚼および言語機能障害について6段階,歯牙障害について5段階に区分して等級が定められています。
以上のように,顔に生じる後遺障害の種類は非常に豊富であり,かつ,その等級も豊富です。
顔に生じる後遺障害を適切に獲得するためには,交通事故に精通している弁護士に相談することが必要不可欠といえます。
弁護士法人心では,所属するそれぞれの弁護士が得意分野を持って活動しており,柏の事務所にも交通事故を得意分野とする弁護士が所属しております。
交通事故被害にお悩みの方は,弁護士法人心 柏法律事務所へご相談ください。
後遺障害申請の事前認定と被害者請求 交通事故被害者の方の後遺障害等級が正しく認定されるために