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交通事故被害相談@柏

使用者責任が問題となる場合

  • 文責:弁護士 鳥光翼
  • 最終更新日:2021年3月3日

1 使用者責任とは

会社に勤務する従業員が、業務中に社用車を運転して事故を起こした場合、過失運転をした従業員は、事故の被害者に対して損害賠償責任を負います。

さらに、会社も、被害者に対して損害賠償責任を負う場合があります。

この会社が負う責任を、使用者責任といい、民法715条に規定されています。

使用者責任とは、他人に使用されている者(被用者)が、事業の執行について第三者に違法に損害を与えた場合に、その者を使用する者(使用者)が負う損害賠償責任をいいます。

使用者責任は、報償責任の原理(雇用主は、従業員を使用して業務上の利益を得ているのだから、利益を得る過程で他人に与えた損失も負担すべきという考え方)に基づくものと考えられています。

2 使用者責任を負う場合

使用者責任が認められるためには、次の4つの要件をみたすことが必要です。

①被用者が第三者に対し、民法709条に基づく不法行為責任を負うこと

②不法行為当時、使用者と被用者との間に使用関係が存在したこと

③被用者の不法行為が、使用者の事業の執行について行われたものであること

④使用者に免責事由が存在しないこと

3 ①被用者が第三者に対し、民法709条に基づく不法行為責任を負うこと

例えば、被用者の運転行為に過失がなく、被用者が不法行為責任を負わない場合は、使用者も責任を負いません。

4 ②不法行為当時、使用者と被用者との間に使用関係が存在したこと

使用関係があるといえる典型例は、被用者が使用者に雇用されている場合ですが、裁判実務上、使用関係が認められるためには、実質的にみて使用者が被用者を指揮監督する関係があるか否かが重要であり、両者間に契約が存在するか、事業が一時的か継続的か、営利目的か公益目的か、適法か違法か等によって定まるわけでないと考えられています。

5 ③被用者の不法行為が、使用者の事業の執行について行われたものであること

裁判実務上、「事業の執行について」とは、被用者の職務執行行為そのものには属しなくても、その行為の外形から観察して、あたかも被用者の職務の範囲内の行為に属するものとみられる場合を含むと考えています。

この考え方を外形標準説といい、交通事故のように事故の当事者間に取引行為がない場合にも、採りいれています。

例えば、最高裁は、従業員が、勤務時間外に私用運転を禁ずる会社の規則に反して会社所有車を運転して交通事故を起こした場合にも、事業の執行にあたると判断しました(最高裁昭和39年2月3日判決)。

6 ④使用者に免責事由が存在しないこと

使用者は、被用者の選任および事業の監督につき相当の注意を払ったこと、まはた、相当の注意をしても損害が発生していたであろうことを立証した場合には、使用者責任を免れます(民法715条1項ただし書)。

しかし、裁判実務上、免責が認められたことはほとんどないため、使用者責任は、事実上、無過失責任に近いといえます。

7 問題となるケース

使用者責任は、4つの要件のうち「事業の執行」にあたるかについて、争われることが多いです。

例えば、従業員が、会社の規則に違反して、自家用車に乗って営業中、事故を起こした場合、出張先に自家用車で行って事故を起こした場合等、使用者側から、事業の執行とはいえないと主張される可能性があります。

そのような場合、事故の被害者の方は、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人心 柏法律事務所では、交通事故の被害者の方のご相談は無料です。

どうぞお気軽にご相談ください。

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