『労災』のご相談なら【弁護士法人心 柏法律事務所】

柏労災相談室

大変申し訳ございませんが、担当弁護士の予定が一杯のため、現在、労働災害のご相談はお受けすることができません。

お役立ち情報

うつ病で労災認定を受けられる場合

  • 文責:弁護士 鳥光翼
  • 最終更新日:2023年8月24日

1 精神障害の要因について

精神障害は、外部からのストレス(仕事によるストレスや私生活でのストレス)と、そのストレスへの個人の対応力の強さとの関係で発病に至ると考えられています。

上記によれば、仕事によるストレスにより生じた精神障害のほかに、私生活でのストレスにより生じた精神障害も存在することになります。

そして、労災保険からの補償の対象となるのは、その発病が仕事による強いストレスによるものと判断できる場合に限られています。

このため、仕事によるストレスが強い場合でも、同時に私生活でのストレスが強かったり、対象者の既往症やアルコール依存症などの「個体側要因」が関係している場合には、仕事によるストレス、私生活によるストレス及び個体的要因のいずれが発病の原因なのかを判断する必要があります。

2 労災保険における認定要件

以下の3つの要件が必要とされています。

①にはうつ病が含まれます。

① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること

② 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

③ 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

3 業務による心理的負荷の有無について

労災保険の認定基準では、業務上生じうる心理的負荷を与える可能性のある出来事を、特別な出来事と、これ以外の負荷の強い出来事、中程度の出来事及び弱い出来事に分類し、対象者に生じた出来事が特別な出来事に該当すれば、強い心理的負荷があったものと認定します。

また、特別な出来事以外の出来事については、負荷の強い出来事のほかに、中程度の出来事が複数生じたことにより強い出来事と同程度の負荷が生じたとされた場合を、強い心理的負荷があったものと認定します。

出来事の類型の一例として、生死に関わる病気やけがをしたことが特別な出来事の一つとされています。

また、業務に関する重大な人身事故のを起こした場合が、心理的負荷の強い出来事の一つとされています。

4 業務以外の心理的負荷

これについても、心理的負荷の程度に応じて、強度Ⅰ(弱い)から強度Ⅲ(強い)までの出来事の類型が定められています。

強度Ⅲの出来事として、夫婦の離婚や別居、近親者の死亡などが挙げられています。

5 労働災害(労災)として認定されるための要件

以下の要件を満たすことが必要とされています。

⑴ 業務による出来事のうち、特別な出来事または心理的負荷の強い出来事があること。中程度または弱い出来事のみの場合は、労働災害(労災)として認定されません。

⑵ 上記⑴の要件を充たしたもののうち、強度Ⅲに当たる私生活上の出来事がなく、個体側要因がない場合には、労災と認定されます。

これに対し、強度Ⅲに該当する出来事または個体側要因がある場合には、業務以外の要因により発病したかどうかを検討し、業務以外の原因により発病したものとされた場合には労災とは認定されないことになります。

専門家紹介へ

スタッフ紹介へ