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「時効の援用」に関するお役立ち情報

消滅時効

  • 文責:所長 弁護士 伊藤貴陽
  • 最終更新日:2024年10月31日

1 消滅時効制度

時効という言葉は法律用語ではありますが、世間一般でもよく知られています。

時効は、正確には、取得時効と消滅時効に分けられますが、債務整理の分野で問題になるのは、消滅時効です。

借金による債務すなわち貸金業者から見た債権は、貸金業者による権利行使が可能になった日から原則として5年で消滅します。

消滅時効が完成した場合には、債務者は支払う義務を免れます。

消滅時効の制度趣旨は次の通りです。

①長期間継続した事実状態を信頼して社会において築かれた法律関係を尊重するべきであること

②長期間にわたって権利行使をしなかった者の権利は奪われても仕方がないということ

③事実状態が長期間継続したことに伴う証拠資料の散逸等による立証困難の不都合を回避しようということ

2 実務上の消滅時効の手続き

貸金業者に対する債務の場合、原則5年で消滅時効が完成することは先に説明した通りです。

ところが、消滅時効が完成することと、債務が消滅することは異なります。

消滅時効が完成しただけでは債務は消えません。

債権者に対して「消滅時効の援用」という行為を行う必要があります。

消滅時効の援用方法は、大まかに2つあります。

1つは、とてもポピュラーな方法ですが、債権者である貸金業者等に対して、当該消滅時効を援用する旨を記した内容証明郵便を発送することです。

内容証明郵便を使わなくても時効の援用はできるのですが、内容証明郵便を用いることで、いつ債権者に対して時効援用の意思表示をしたということを客観的に証明できるようになりますので、もし後で争われた場合も安心できます。

参考リンク:郵便局・内容証明

もう1つは、裁判上で消滅時効を援用することです。

貸金業者によっては、消滅時効が完成していることを知りながら、債務者に対して支払督促をしたり、訴訟を提起したりすることがあります。

このような場合、事前に内容証明郵便により消滅時効を援用するよりも、直接訴訟で消滅時効が完成している旨を主張してしまった方が簡便です。

支払督促の場合は、異議を申し立てて、訴訟に移行した後で時効の援用をします。

なお、訴訟で時効の援用を行った場合、相手が訴訟を取り下げることもありますので、その場合は改めて内容証明郵便で時効の援用をしておくことになります。

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