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「債務整理」に関するお役立ち情報

債務整理の自宅土地建物への影響

  • 文責:所長 弁護士 伊藤貴陽
  • 最終更新日:2024年9月25日

1 任意整理の場合

任意整理は、裁判所を通さず、直接債権者と交渉を行い、負債の返済方法の変更等を行う債務整理の手法です。

収入があり、返済条件を変えれば返済を続けられるという場合に多く用いられます。

もっとも、自宅土地建物をローンで購入していて、今もローンを返済している途中の状態である場合は注意が必要です。

当該ローンの債権者は、自宅土地建物に抵当権を設定している場合がよくあります。

その状態で当該ローンの債権者に対して任意整理を行うと、抵当権が実行されてしまい、自宅を失う可能性があります。

任意整理は、交渉する相手を選ぶことができるので、このようなケースにおいては、住宅ローンの債権者以外の債権者に対して任意整理を行うという進め方をします。

なお、自宅土地建物のローンの返済が終了している場合には、上記のような問題は発生しません。

2 自己破産の場合

自己破産を行う場合、ローンの返済が終了しているか否かに関わらず、自宅土地建物を残すことはできません。

自己破産は、(一部の例外を除き)債務の返済義務を免除することと引換えに、自己の所有する財産を換価処分し、債権者へ配当する手続きであるためです。

また、破産手続き前に自宅土地建物の名義を形式的に他人に移し自宅土地建物を残そうとするケースがありますが、このような行為は免責不許可事由になり得るので注意が必要です。

3 個人再生の場合

個人再生は、裁判所を通じて、返済原資が確保できることを条件に債務を減額し、分割払いとする手続きです。

手続上、すべての債権者を対象として行います。

個人再生手続の大きな特徴は、住宅ローンの返済中であっても、債務の減額を受けつつ、自宅土地建物を残すことができる点にあります。

住宅資金特別条項が適用されれば、住宅ローンを従前通り支払うことを条件に、住宅ローン以外の借入れについて減額して支払っていくことができる可能性があります。

個人再生では手続きにおいて換価処分を行うことはないため、住宅ローンの返済がすでに終了している場合、もちろん自宅土地建物を残すことはできます。

ただし、個人再生手続においては、清算価値保障原則というものが適用されるので注意が必要です。

清算価値保障原則とは、個人再生における返済額は、破産手続によって財産をお金に換えて債権者に分配する金額(大まかには、保有している資産の評価額)を下回ってはならないというものです。

住宅ローンを支払い終わっている自宅土地建物は、場所によっては価値が高くなりますので、個人再生手続における最終的な返済額も高額になる可能性があります。

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