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主婦・主夫の方の債務整理について

  • 文責:所長 弁護士 伊藤貴陽
  • 最終更新日:2024年7月31日

1 債務整理における主婦・主夫の方の特殊性

主婦・主夫の方であっても、借金の返済が困難な事態に陥ることもありますので、債務整理を行うことは可能です。

生活費のためにやむを得ず借入れた債務の返済が難しくなってきた、隠れて行っていたギャンブルで借金を作ってしまったなど、債務整理の動機は様々です。

主婦・主夫の方の特徴は、通常自分自身の収入がないか、または僅少であるという点ですので、それに合わせて対応も変えていく必要があります。

後述する任意整理、個人再生においては、債務の返済原資が存在することが必要ですので、債務整理手法の検討や返済方法などをしっかりと検討する必要があります。

アルバイト・パートなどにより独自の収入がある(または得られる見込みがある)場合や、配偶者・親族等の支援により返済原資を用意できる場合には、自己破産以外の方法による債務整理も可能です。

2 任意整理の場合

任意整理は、裁判所を通さず、あくまでも各債権者と個別に支払条件等を交渉し、和解契約等を締結することで、返済計画を定める手続きですので、柔軟な対応が可能であるという特徴があります。

貸金業者やクレジットカード会社は、債務者自身に収入がなかったとしても、何らかの手段により返済が可能であると判断すれば、和解に応じることもあります。

3 自己破産の場合

返済に必要な金銭を全く用意することができず、用意できる見込みもない場合、自己破産手続きを選択することが考えられます。

主婦・主夫の方であっても、自己破産は可能ですが、配偶者の方に債務の状況を知られたくないという場合には、注意すべきことがあります。

自己破産を行う場合、家計の状況を裁判所に報告する必要があるため、配偶者(同居の方)の収入等の資料も提出するよう求められます。

債務者自身で家計に関する資料等を全て揃えることができ、裁判所に対して収入全体についての使途を明らかにできるのであれば、配偶者に知られずに破産手続きを進められる可能性があります。

他方、家計の管理を配偶者に任せてしまっている場合など、配偶者の協力なくして資料を揃えることが困難な場合には、配偶者に知られずに破産手続きを行っていくことが困難な場合もあります。

また、借入れの状況、家計の状況によっては、裁判所や管財人が配偶者に意見聴取を求めることもありますので、その場合も、配偶者に知られるおそれがあります。

4 個人再生の場合

任意整理、自己破産については、上述の通り、債務者である主婦・主夫の方に全く収入がない場合であっても手続きを行うことができます。

しかし、個人再生は事情が異なります。

個人再生手続きを進めるためには、継続的な収入を得る見込みがあることが必要になるため、債務者の方に収入がなければなりません。

主婦・主夫の方であっても、アルバイトやパート等をしていて個人再生の再生計画に従った弁済に足りる収入がある場合は、個人再生手続きを利用できる可能性があります。

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