自己破産における同時廃止と管財事件
1 自己破産の種類
自己破産の種類は大きく分けて、同時廃止事件と破産管財事件があります。
申立て、開始前審尋までは同じですが、それ以降の手続きはそれぞれ異なります。
以下で手続きの流れをご説明します。
2 同時廃止事件の場合
⑴ 申立て
まずは、地方裁判所に自己破産の申立てをすることになります。
⑵ 開始前審尋
申立て後、開始決定前に、破産手続開始の要件を充たしているかを確認するために、申立人に対して審尋が行われることがあります。
これを開始前審尋といいます。
⑶ 開始決定
申立てをしたら、破産手続開始決定・同時廃止決定が裁判所から出されます。
同時廃止決定とは、破産手続開始決定と同時に破産手続きを廃止する決定です。
⑷ 免責審尋
破産手続開始決定・同時廃止決定がなされると、免責審尋期日が指定されます。
免責審尋とは、裁判所で裁判官と破産者が面談する手続きです。
通常、自己破産をした人が何人か裁判所の一室に集められて、裁判官から破産手続きの説明、裁判所に対して提出した資料に虚偽の記載がないか、氏名、住所等に変更がないかの確認、免責後の生活の注意点等の話を聞きます。
⑸ 免責許可決定
免責審尋後に、裁判所から免責許可決定が下され、免責許可決定後1か月の経過によって、免責許可決定が確定します。
3 破産管財事件の場合
⑴ 破産管財事件の特色
申立て後に、破産手続開始決定がなされること及び場合によって破産手続開始決定前に開始前審尋がなされることがあるのは、同時廃止事件と同様です。
しかし、破産管財事件の場合は、同時廃止決定はなされず、破産手続開始決定と同時に破産管財人が選任されます。
破産管財人は配当に回すべき破産者の財産を管理し、処分します。
⑵ 債権者集会
破産管財事件では、債権者集会が開かれ、破産管財人が破産者の財産及び収支の報告をします。
⑶ 債権確定・配当
債権を確定し、財産を換価処分して債権者への配当が全て完了した時、破産手続きが終了したということになります。
⑷ 免責許可決定
免責許可決定や免責許可決定の確定については、同時廃止事件の場合と同様です。
4 同時廃止と管財事件はどのように決まるのか
同時廃止になるか、管財事件になるかは、全国一律の明確な基準があるわけではなく、裁判所によって異なります。
同時廃止であれば、開始決定と同時に破産手続きを終結させることになるため、破産手続きにかかる時間が短くて済みます。
また、管財事件より同時廃止の方が、裁判所に納める予納金の負担が少ないです。
このようなことから、「同時廃止を希望する」という方もいらっしゃるかと思いますが、希望したからといって、必ずしもそうなるとは限りませんので注意が必要です。
自己破産に詳しい弁護士に見通しを相談されることをおすすめします。
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自己破産が認められない場合
1 いくつかの場合が考えられます
「自己破産が認められない」という言い方は、厳密には法律用語ではありませんが、ここでは、個人の方の破産を念頭に、「①破産手続開始の原因がない場合」、「②免責されない場合」、および「③何らかの支障により自己破産手続を選択できない場合」の3つに分けてご説明します。
2 破産手続開始の原因がない場合
破産法15条1項には、破産手続開始の原因として「支払不能」が記載されています。
支払不能かどうかは、債務者の個別的な事情を基に客観的に判断されます。
支払不能とは認められない場合には、破産できません。
例えば負債総額が50万円程度であったとしても、債務者が高齢または病気のため働くことが困難で、収入も生活保護や国民年金のみで、援助を期待できる家族もいないという状況であれば、支払不能となります。
他方、机上事例ですが、負債が1000万円あったとしても、債務者が月収300万円を安定して得ているのであれば、通常は支払不能とはなりません(月収300万円の人が負債1000万円のために破産申立てを行うことは想定できませんので、机上事例です)。
また、債務者の負債が1000万円で、固定資産税評価額が合計1000万円の複数の土地を所有していたとしても、それらの土地の処分が困難である場合(人口減少により過疎地の土地の処分は困難になっています)には、それらの土地を所有していることを理由に支払不能にはあたらない、とされることはありません。
3 免責されない場合
個人破産の場合、最終的に免責決定を得ることが破産手続を行う目的となります。
免責とは、税金等の非免責債権を除く一般債権についてその返済を免れることを言います。
競馬やパチンコのために多額の借金をしたり、収入に見合わない高価な時計やカメラなどをクレジットで多数購入して返済できなくなった場合は、免責不許可事由に該当しますので、裁量免責(免責不許可事情があっても、裁判所は諸々の事情を考慮して免責を認めることができ、これを裁量免責と言います。)が認められなかった場合は、免責不許可となります。
免責不許可事由に該当する事実があったとしても、支払不能であれば破産手続は開始します。
しかし、免責が認められなかった場合は、破産申立てを行った目的が達せられないということになります。
4 何らかの支障により自己破産手続を選択できない場合
⑴ 職業制限がある場合
一定の職業や資格については、破産手続開始後、復権(免責許可です)を得るまでその業務や資格が制限される場合があります。
よく知られている職業や資格としては、警備員、生命保険募集人、弁護士、税理士などがあります。
職業または資格の制限により仕事に支障が発生する場合は、自己破産手続きではなく、他の債務整理手段を検討することとなります。
⑵ 家族に知られたくないという場合
配偶者に秘密で借金をしていた場合、破産についても配偶者に知られたくないという人もいらっしゃいます。
しかし、破産手続の場合、同居の家族の収入状況をチェックするため、同居の家族の給料明細や源泉徴収票、通帳の提出を求められることがあります。
とくに夫婦の場合は、夫婦全体の収入支出状況をチェックされますので、他方配偶者の資料の提出を求められることが多くなっています。
また、家族から借り入れがある場合は、その家族を債権者一覧表に記載する必要があり、裁判所から破産の通知が送付されることになります。
このように、自己破産は家族に知られてしまう可能性がありますので、家族に知られたくないという方は、事前に弁護士によく相談することをおすすめします。
柏で自己破産の相談をお考えの方は、弁護士法人心 柏法律事務所へご相談ください。