民事再生と個人再生の違い
1 個人再生は民事再生の1つ
民事再生と個人再生は全くの別物ではなく、個人再生も民事再生の一種です。
民事再生は法人でも個人でも利用できるのですが、事実上個人が利用するには難しい面もあるため、個人用の民事再生として別途個人再生の手続が設けられているのです。
2 再生計画案に対する同意がどの程度必要か
民事再生も(小規模)個人再生も債権者の過半数及び債権額の2分の1以上が反対に回ると成立させることができません。
ただ、民事再生の場合は積極的な賛成が必要である一方、個人再生の場合は消極的賛成で足ります。
つまり、民事再生の場合は債権者の過半数及び債権額の2分の1以上の債権者が、再生計画案に対して同意する旨の届け出を出してくれなければ成立させることができないのですが、個人再生の場合は届け出がない場合、その債権者は再生計画案に賛成しているものとしてみなされるのです。
積極的に反対する債権者が債権者の半数以上あるいは債権額の過半以上にならなければ問題ないということになります。
現実問題として、個人再生の場合で再生計画案に対する意見が提出されるケースは多くないため、個人再生の再生計画案が認可されるハードルは民事再生と比べて低いです。
3 債務額の上限、再生委員や監督委員の違い
個人再生は、住宅ローンを除いた債務額が5000万円以下でないと利用できません。
また、個人再生は個人再生委員がつく場合とつかない場合がありますが、民事再生では監督委員が必ず選任されます。
4 費用面の違い
個人再生で再生委員が選任された場合でも、必要な費用は15万円ないし20万円です。
他方で、民事再生で選任される監督委員に対しては最低でも200万円以上は必要になってきます。
民事再生の方が個人再生よりも複雑な手続きですので、申立代理人の弁護士に対する費用も、個人再生の場合よりも高額になります。
5 個人の場合は基本的に個人再生
このように、民事再生を個人が利用しやすくするための制度として存在するのが個人再生であり、個人があえて民事再生を選択するメリットはありません。
債務額が5000万円を超えるという時に初めて民事再生を検討するということでよいでしょう。
法人の場合は個人再生が利用できないので民事再生ということになりますが、手続自体にかかる費用が高額ですので、その点をクリアできるかどうかを検討することになると思います。
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