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弁護士法人心 柏法律事務所

不貞行為が原因で離婚するようになった場合の慰謝料の金額

  • 文責:所長 弁護士 伊藤貴陽
  • 最終更新日:2024年10月24日

1 慰謝料の算定基準

慰謝料は、被害者の受けた精神的苦痛を金銭評価した損害額です。

しかし、不貞行為が原因で離婚することになったとしても、被害者によって感じる苦痛の内容や程度は異なるように、精神的苦痛は、本来金銭に換算することができない性質のものです。

そのため、慰謝料の金額や算定基準は、法律上、一律に定まっていません。

そこで、裁判実務では、事件ごとに個別・具体的な事情を総合考慮して、慰謝料を算定しています。

2 不貞行為が原因で離婚する場合と離婚しない場合の慰謝料の目安

個別・具体的な事情の中でも、不貞行為が原因で離婚するか、離婚しないかによって、慰謝料の額は大きく異なり、以下の金額が一応の目安となります。

・離婚する場合

100万円~300万円

・離婚しない場合

数十万円から100万円

3 慰謝料を増減する事由

その他、裁判所が、慰謝料を算定するにあたって考慮する主な事情を、以下に記載します。

⑴ 不貞行為が始まった時点での夫婦の関係

ア 婚姻期間

不貞行為が始まった当時、夫婦の婚姻期間が20年以上等長い場合は増額事由、婚姻期間が3年以下等短い場合は減額事由とする裁判例が多くみられます。

イ 不貞行為開始時に夫婦関係が円満であったか

そもそも不貞行為開始時に夫婦の婚姻関係が破綻していれば、不法行為は成立せず、不貞相手は慰謝料の賠償義務を負いません。

破綻していたとまではいえず賠償義務を負う場合であっても、他方の配偶者にも不貞相手がいた等、夫婦関係が円満とはいえない場合、減額事由として考慮されます。

結婚生活が同居を伴わないものであったことを減額事由とする裁判例もあります。

ウ 子どもの有無

夫婦間に未成熟子がいる場合、精神的苦痛が大きいことが通常なので、増額事由となります。

エ 内縁関係の場合

内縁関係の場合、法律婚における貞操請求権と比べて権利性が低い等の理由から、減額事由とされる傾向にあります。

⑵ 不貞関係の経緯、内容等

ア 不貞した配偶者と不貞相手の責任の程度等

例えば、既婚者である職場の上司が部下を誘ったことがきっかけで不貞行為が始まった場合等、不貞関係が始まる経緯、その後の双方の関係において不貞した配偶者が積極的・主導的であったとの事情が、不貞相手の慰謝料の額に影響するかについて、影響しないとする考え方と、減額事由として考慮する考え方に分かれます。

そのため、交渉・裁判の場では、被害者にとってより有利な考え方に則って主張・立証する必要があります。

イ 不貞行為の期間

不貞行為の期間が2、3か月等短い場合は減額事由、不貞行為の期間が5年、10年等長い場合は増額事由となります。

ウ 不貞行為の回数

例えば、1か月に3、4回の性交渉が継続的に数か月にわたって20回程度行われた等、不貞行為の回数が多い場合は増額事由となり、1回限り、3回等少ない場合は減額事由となります。

エ 不貞行為によって妊娠・出産した場合

精神的苦痛が大きいことが通常なので、増額事由となります。

オ 不貞行為発覚後の事情

不貞行為が裁判になった後も続いている、不貞関係を解消すると約束したにもかかわらず、翻意して不貞関係を再開した等の事情は、増額事由となります。

4 離婚に強い弁護士にご相談ください

以上のとおり、慰謝料を増減する事情は、多岐にわたります。

「この場合は増額する・減額する」と形式的に判断できるわけではありませんので、弁護士は、これまでの裁判例を踏まえて、ご相談者にとって有利な事情も不利な事情もお聞きして、証拠の有無・内容等を精査し、より良い時期、方法等を検討した上で、相手方との交渉、裁判等の手続きを進めます。

不貞行為が原因で離婚するようになった場合、まずは、離婚に強い弁護士にご相談ください。

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