公正証書遺言の作成をしたいが公証役場に行けない場合の対応方法
1 公正証書遺言は,遺言者が公証人の前で作成する必要があります
公正証書遺言は,遺言者が遺言の内容を公証人に伝え,公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成する方式の遺言です(民法969条)。
公正証書遺言は,公証人という法律の専門家の関与のもとで作成されるので,遺言者の遺言能力をめぐって後に争いが生じるおそれが少ないことや,遺言書の原本が公証役場で長期間保存されるため遺言書の改ざんや滅失のおそれが少ないこと,家庭裁判所での検認の手続きが必要ないことなどのメリットがあることから,一般的に利用されています。
ただし,公証人が遺言者の口述を筆記することが法律上の要件ですので(民法969条3号),遺言者は,公証人の前で遺言書を作成する必要があります。
公証人は,公証役場に在籍しておりますので,公証役場で作成することが原則です。
2 費用を払えば,公証人が出張して作成することが可能です
ただ,遺言者が,病気やけがなどにより公証役場に出向くことができない場合には,公証人が遺言者のもとに出張して作成することも可能です。
この場合,公証人と公正証書作成のための打合せをして,作成の日時・場所を調整する必要があります。
また,出張の場合には公証人に対して支払わなければならない費用が増加します。
具体的には,公正証書作成の手数料が1.5倍になり,公証人の日当と出張に要する交通費も必要になります。
公正証書作成の手数料は,相続する財産の額やその他の条項の有無などによって算定されます。
公証人にお支払いする日当は,1日あたり2万円と定められており,4時間までであれば1万円と計算されます。
このような手数料・日当等の費用は,政府が定めた「公証人手数料令」という政令により決められています。
注意すべきこととして,各公証役場には職務執行区域が定められており,それ以外の区域には他の公証役場で行う場合を除き,出張をすることができないということです。
柏市内にある柏公証役場は,千葉地方法務局に所属していますから,公証人はその管轄区域である千葉県の外に出張することができません。
3 公証人の出張により公正証書遺言を作成することについての相談
弁護士法人心では,公正証書遺言を公証人が出張して作成する場合についても対応させていただいております。
遺言の作成をお考えの方は,弁護士法人心 柏法律事務所にごそうだんください。